ながれゆく葦

考えたこと、思ったこと、好きなことについてつらつら書いてゆく備忘録的ブログ。数学、プログラミング、ラノベ、アニメ、小説、音楽などについて。

BanG Dream! バンドリ 感想(ネタバレあり)

内容紹介

 2015年1月よりスタートした『BanG Dream!』プロジェクト。その原典となる小説が、中村航書き下ろしでついに登場!  引っ込み思案の香澄が、ギターや仲間と出会い音楽を紡ぐ物語。『BanG Dream!』の伝説はここから始まった――!(Amazonより)

 

以下ネタバレあり感想

 下を向いて生きてきた女の子が星に出会い夢を見つけ、仲間とキズナを築きながら夢を撃ち抜こうと、不器用ながら懸命に生きる、わくわくして熱くて感動する青春バンド小説。

 とある作家がこの本を絶賛していたので読んでみることに。アニメは半分ぐらい見て、ガルパのストーリーもあまり覚えていない。

 読んでまず驚いたのはキャラクターの性格が全然違うこと。香澄は陰キャだし、有咲はツンデレでもない引きこもりクラベン系女子だし、りみりんは炊飯器ニンジャガールだし、おたえは不思議系でないコミュ障だし。沙綾は性格は変わっていないけど家族回りの設定がより重くなってる…。それでも読み進めていくうちに違和感がなくなっていって、むしろこっちの方が自然なんじゃないかと思えてくる。自分がアニメ版の香澄のノリについていけなかったというのもあるが。りみりんは…ベーシストだからいいんじゃないかな(偏見)…。それでも芯の部分ではちゃんとアニメの香澄だなあと思えるのが良い。

 読み進めると実際の楽曲が登場したのでそれを聞きながら読んでいた。…ズルい。「Yes! BanG_Dream!」が出来上がっていくまでの過程とか、運命的なものは思わず鳥肌が立った。さすがは小説の作者と曲の作詞家が一緒なだけある。曲のせいもあって普段より小説にのめり込めてしまう。本文の通りだと、ポピパの楽曲の歌詞は他のメンバーがメロディーや構想を考えた曲でも基本は香澄が作詞しているようで、香澄が他のメンバーと話しあいながら歌詞を紡いでいるところを思い浮かべるとエモい。特に「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」と「走り始めたばかりのキミに」が格別。

 「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」は香澄が作詞作曲した曲で香澄の色々な思いがこもっている。香澄の生き様を赤裸々に綴った曲だし、これからはこの曲を背負って夢を追いかけていくっていう決意の曲だし、沙綾も含めたメンバーと一緒にバンドを続けたいっていう告白の歌でもある。本当に色々な思いが詰まった曲なんだって気づいて、この曲がすごく好きになった。曲の仮タイトルが「小心者のテーマ」であることも香澄らしくていい。きっと香澄はこれからもずっと、どこに行ってもこの曲を胸に抱えて歌い続けるんだろうなあ。

 「走り始めたばかりのキミに」は沙綾が作詞作曲した曲で、「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」に対するアンサーソングのように思える。バンドに加入して香澄たちと一緒に夢を追い続ける覚悟の曲。本文では「ポピパの決意の曲」と表現されているのもメンバー全員の思いが繋がっている感じがしてジーンとくる。歌詞を見ながら曲を聴くと沙綾が香澄を考えて書いた詩と読み取れるけれどもきっと、香澄以外のメンバーそれぞれが香澄に対する思いと共感するところがあるんだろうなあと。

 この小説を読んでからポピパのことがより好きになった。(アニメもこっちのストーリーでやればよかったのに。)今までよりも歌詞に注目して曲を聴くようになった。香澄がどんなことを考えてこの歌詞にしたのかとか想像しながら聴くと楽しい。また、「頭へごちん」やKISSのALIVEⅡが登場するなど小ネタが登場するのもアクセントとなってよい。出会えてよかったと思える小説だ。バンドリをアニメだけ見た人やゲームしかしてない人はぜひ読んでみて欲しい。

 最後に印象に残った一文、赤いランダムスターを持った蔵の奥にある「夢」という文字を撃ち抜くシーン。香澄が夢を追いかける宣言をしてすべての始まりとなる場面。

 “「夢」に狙いを定めた香澄が、高らかにその声を発した。——BANG! DREAM!”

BanG Dream! バンドリ

BanG Dream! バンドリ